●似てるって
高校生の頃、大場久美子に似ていると言われた。ご存知ですかコメットさんです。
今となっては全く信じられない。年齢と髪型が似ていただけじゃね?と子ども達は言う。わたしもそんな気がする。
勘違いってあるからね。
あの頃松田聖子に似ていると言われている同い年はいっぱいいたわねえ。
56歳の今、松田聖子に似た同い年はいないな。
みんなどこに行ったの?
あの人たちは今は誰に似ていると言われているのだろう。
10年も前、職場の守衛のオジサンに「ヤシマさんのことを守衛室ではマリオン・コーティヤールと呼んでいます」と言われた。
なんだそれ誰だそれ全然わかんないよそれ。ゲームのキャラ?
子どもに聞いたら笑って。
「わかる!その人、外人にしては鼻の丈が短いんだよ」
と言う。
あ、そこがだけがピンポイントで似ているのね。納得。
そして目の下にクマが出ているところね。
そうそう。わたしは鼻の丈が短いの。
スカートの丈を短いというみたいに鼻の長さも丈と呼んでいいのかな。
顔はフツーの長さなんだけどなあ。バランス悪いよね。
母、亀子が
「段がつくほど高い鼻になりたい」と渇望した怨念の遺伝子がわたしにはっきりと受け継がれているのよ。
ある時、売り出し中の若いタレントに似ているねえ。と言われた。
へ、50過ぎてそんな若い娘に今更似るわけあるかいな。と見てみたら案の定鼻の丈が短くて色黒だった。
ファンになるほどではないけれど心の中で
「その鼻でがんばれよ!」と応援していたんだけどなあ。
たいした人気出ないよね。当たり前だよね。
ところが整形しちゃったんだよねえ。
ちゃんと鼻長くなったのよ。
やっぱり気にしていたのかな。
事務所の社長に
「やっぱりその鼻じゃいい役来ないんだよね」
って説得されたのかな。
あなたの短い鼻のために遠く北海道から泣いてあげるわよ。
その鼻で芸能界目指しただけで偉いとオバサンは思うよ。
●お父さん似
うっかり調子に乗って友達に父の写真を見せてしまったの。
「あらあ、みさおちゃんお父さん似ね」
そして母と姉とわたしの53年くらい前の写真を見て
「お姉さんはお母さん似ね」
これよ!これこそわたしが長年渇望していた言葉よ!
嬉しい。涙が出るほど嬉しい。
母、亀子(仮名)に似ている。と言われてがっくりと項垂れた日々よさようなら。
親戚のお葬式で従兄弟に久しぶりに会った時に言われたっけ
「もしもみさおに街で会ったら思わず声かけるだろうなあ。あ、亀子さん!って」
そして亀子の母のカメノ(仮名)に似ていると言われて泣いた3歳のみさおよ元気を出して。
「みさおはカメノばあさんに似ちゃったね」というひそひそ声に悪意を感じたのよね。
もう大丈夫よ。
今日からわたしはお父さん似。
どんなにご機嫌ではしゃいで図に乗って大口叩いて大風呂敷広げているときでも
「みさおちゃんってお母さん似ね」
とひとこと言われると突然しょんぼりしちゃうの。
子ども達は
「みさおを殺す一言」と笑う。
でも今日からわたしはお父さん似。
子どもの頃の知り合いと40年ぶりに再会する前に(例えば昨日の日記のヤマシタに会う時)には予め
「えー、会ってもいいけどわたしのこと母と似ているって言わないでね。怒って帰るからね」
と太い釘を刺してから会っていたのよ。
でも今日からわたしはお父さん似。
世界が輝いて見えるわ。