2019/02/12「スパイス屋さんになる③」「もぐら時間②」

 

●スパイス屋さんになる③

スパイスの小袋に付ける内容表示をシール用紙に手書きしている。

って書いたら予想外に驚かれてしまってこっちが驚いているの。

え、わたしそんなにヘンかな。

黙って見ていた壮二郎も

「いやあ、まさかホントに手書きするとは。みさおってクレイジーだよね」

と笑ってるんですけど。

ヘンだと思うなら書いている時に言ってよ。

 

さすがに18枚目くらいになると

「わたしどうしてこんなことしているんだろう」

と、疑問が湧いてくる。

遅いか。

疲れ果ててついよろよろとベッドに入る。

起きているのに何故か自分のイビキが聞こえる。

意識は目覚めているのに身体が寝ている状態になっちゃうこの分離感。

これって幽体離脱するんじゃない?

シール手書きの疲れで幽体離脱するってヘミシンクもびっくらじゃない?

 

でもその時、ハッと閃いた!

ガバっと起き上がる。幽体離脱は中止よ!

 

そうだ、コピー用紙に升目を書いて、そこに内容表示を書いてそれをコンビニでコピーすればいいんだ!

そしてハサミで切り取って、包装用紙に糊で貼ればいいんだ!

素晴らしい!

斬新な発想!

わたしは知恵の袋よ!

忠臣蔵における千坂兵部よ!

とめどなく湧く知恵の泉だって言ったじゃない!

枯れることを知らないのよ!

 

頑張ってA4に1枚書けばそれを無限にコピー出来るんだもん。

と、コピー用紙を出してすぐに頓挫したの。

だって升目を引く定規がどこに行ったかわからないんだもん。

ダメ人間の特徴はモノの行方をいつも探していることよ。

探し疲れて、もういいわ。とパン生地を延ばす時に使うシート(定規の模様付き)を利用して線を引くことを思いついた。

フフ、生活の知恵よ。

 

難しいのよこれが。

紙に正確な升目を引くって不器用な人間にはハードル高すぎ。

線を引くのを諦めて、折り目をつけるという方針に変更したのだけれどね。

ご想像通りよ。

何度もやり直して紙がゆらゆらしてるわよ。

 

それでも諦めないわ。

そうよ四角じゃなくてもいいじゃん!

と瓶の蓋を紙の上に置いてそれをなぞるという方法もやってみた。

名刺を半分に切ってそれをなぞって四角を作るという方法もやってみた。

全部ダメだった。

 

なんだか全てが嫌になってしまったの。

 

もう止めようかなあ。と思った時に閃いた!

そうだ、アイパッドプロのプロクリエイトがあるじゃん!

その画面だと線画ガイドがあるから升目引けるんだ!と。

 

いまプロクリエイトでコツコツ書いています。

やっと成分表示4枚目です。

大きな声で言えないのですが、右手の人差し指が筋肉痛です。

でも頑張ります。

 

●もぐら時間②

あまりにも寒いし、スパイス発売のためのまさかの内容表示の手書きという内職に押されて疲れ切ってしまったのよ。

こんな時には岩盤浴に限るわよ。

全員もぐら色の湯衣を着た女がゴロゴロと転がっている場所。

受付で

「ロッカーのカギを失くした場合には5000円いただきます」と念を押されてロッカールームに行く。

そのロッカーがとても狭いのよ。

ユニクロのダウンが溢れそう。

「ゴミ捨てにちょうどいい」と思って買ったのが散歩用になり、

「新札幌の買い物もこれでいいか」と着るようになり、いまでは地下鉄に乗っての岩盤浴もユニクロのダウンになっちゃったよ。

クラス会にもユニクロのダウンで出かける日も近いな。クラス会なんて呼ばれたことないけど。

そのダウン一枚をかけるだけでロッカーはもう満杯。

そこに無理やりバッグや湯衣のはいった袋を押し込む。バッグに押されてダウンがハンガーから滑り落ちる。

もうごちゃごちゃよ。

なんとか脱いだ服も押し込み、まずはお湯に入ろうとするのだけれど、高齢者割引で入館したおばあさんグループが湯船の前にたむろしているの。

ああ、ホント迷惑。

イライライラ。

タオルが無いの鍵が無いのって大騒ぎしてるのよ。

「せっかく割引で入館してもロッカーキー保障代払うと高くつくわよね」

と意地悪い気持ちでばあさん軍団を見ながら、ゆっくりゆっくりお湯に浸かる。

ああ、目の奥がほぐれるわあ。

頑張りすぎて食いしばった奥歯もほぐれる。って歯槽膿漏じゃないよね。

ぐったりするほどお湯に入ってさあ、岩盤浴!とロッカーに向かったら。

 

鍵が無いの。

温まった身体が突然冷える感覚。

浴室に戻る。

通路をよくよく見て歩く。

もう一回浴室に戻る。

ああ、無い。

さっきばあさん軍団を嘲笑ったバチが当たっちゃったのかな。

 

こんな時一人で来ているって辛いわ。

「あれ、困っちゃった。失くしちゃった」って相談できる人がいないんだもん。

 

受付に

「鍵が無いんです」って言いに行くのにもわたしは丸裸。

落ち着けミサオ!

こんな時は深呼吸よ。

心の中の自分に相談よ。

これからどうしたらいいか、自分に深く入り込んで聞くのよ!

と、裸でじっと立っていると冷えちゃってトイレに行きたくなっちゃった。

ショックと冷えで震える手を洗っていたら鏡に映った自分の姿。

 

ああ、髪の毛を縛るゴムを忘れてロッカーキーでまとめていたんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/02/08「貯蓄の心」「スパイス屋さんになる②」

●貯蓄の心

六花亭で毎日あれこれ買うわたしを壮二郎は冷たい目で見ている。

「壮ちゃんプリン食べる?」

「いらない」

で、一個だけ買うんだけどね、気が付くと壮二郎が食べているの。

「買ってから2日経ったプリンには所有権が無い」と言うのが彼の言い分。

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みさ日記2019/01/26「お呼びじゃない?」「え、こんなにお爺さんなの?」

●お呼びじゃない?

高校生の時、母の亀子(仮名)とクラスの男子の噂話をする。

「伊藤くんって目がパッチリした女の子が好きなんだって」

「え、、、」

「ヒロシは明るい女の子がいいって言ってた」

「そうなの~」

「木下くんは知的で痩せたヒトと付き合いたいんだってさ」

「フン!」

亀子がいちいち自分に当てはめて照れたり機嫌を悪くしたりするのを

「何だかヘンだな」

と、思っていた。

たまに「こいつは将来ホストになるな」と思われるワルいのが

「オバサンこんにちは。いつもキレイですね」

なんて言うと

「今度横山くんはいつ来るの?」

とうるさい。

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みさ日記2019/01/25「インドに行くわよ」「散歩」「年上好きの諸嬢に連絡事項」

●インドに行くわよ

昨日、e-visaを申請するために一日の殆どを使った。

染めているからわかんないけど白髪も増えたし白血球も増えたはず。

歯をずっと食いしばっていたから臼歯もすり減った。

眉間に刀傷級の皺が出来たのは昨日も書いた。

一日でがったり老けた気がする。

みさお命のピンチ!

みさお若さのピンチ!それはもう無いか。

 

朝、ぼんやりと起きだして、地吹雪してる外を見てチッと舌打ちまでしたんだけどね。

黒いパソコンの黒井さんを開いてgmailを開けたらインド国のvisa係からメールが届いていた。

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みさ日記2019/01/24「インドに行けないかも」「ピザ」「大丈夫です」

●インドに行けないかも

インドに行くためにはビザが必要なんだって。

深く考えていなかったけれど大変なことだったの。

e-visaっていうのをインターネットで申請するんだけどね、半日かかっちゃった。

きっと簡単に出来る人は簡単なのよね。

壮二郎もひょいひょいやっていた。

英語表記だけれど、いまは親切に説明してくれるページもあるんだけどね。

出来ないのよ。これが。

パソコンの画面を見ながら手元にアイパッドを置いてそれを参考にして打ち込むのだけれど、タイムアウトになっちゃう。

タイムアウトでも途中から始められるという話だけれどわたしにはそれさえ出来ない。

また最初から始めるの。

名前はmisaoyashimaです。住所はsapporo です。

パスポートと自分の写真をjpegとpdfでアップロードって、それ何のこと?

その部分だけは壮二郎にやって貰ったけれど、ダウンロードしたその写真をどうやってe-visaに取り込むのかがわからない。

呆れた壮二郎が

「みさおまだダウンロードの意味がわからないの?これで何回目?」と言う。

わからないものはわからなくて、わからないということは何がわからないかわからないと言うことなのよ。

壮二郎に

「ああみさお、インド行けないかもね」

と言われる悲しさよ。

胃がキリキリ痛む。

もう英語の質問を全部憶えるくらい何度もトライしたわよ。

父親はどこの国生まれ?軍隊にいたことある?インドに来るの何回目?

もうそんなこと聞いてどうするの?ヒトの事情に立ち入り過ぎよインド国!

スピリチュアル界隈の人が

「インドは呼ばれた人しか行けない場所」

なんて言うけど違うってば

このe-visaを乗り越えた人しか行けないってことだって。フン!

お高いと言われるフランスだって、物価がえらく高いハワイだってこんな面倒なことさせないからね。

観光客、是非来て来てって言うよ。

もうね、行く前からすんごくインド嫌いになっちゃった。

ああ、やっと最後まで行った!と思ったらカードの承認が出来ないの。

ビザっていったいいくらなのよ!いますぐ現金で払うわよ!

とパソコンにお金を投げつけたくなる。

いくら毒付いても冷静なパソコン(名前は黒井さん)は顔色も変えない。

やるわよ、最初からやるわよ。

名前はmisaoyashimaよ。

住所はsapporo よ!

父親はjapan 生まれってさっきも言ったよね!何度も聞かないでってば!キーッ!

 

何がなんだかわからないままに申請が出来た。

通るかどうかはわからない。

もう一度やれと言われてももう出来ない。

眉間に刀傷みたいな皺が出来た。

胃が痛い。

でも四つ葉の生クリームを1パック泡立てて六花亭のプリンとコーヒーに載せて食べる。

いつもほど美味しく感じないけれど、贅沢することに意義があるのよ。こういう場面ではね。

ああ、人はこういうことを繰り返して病気になるのよね。

 

●ピザ

ビザ申請で体力を使い果たしたので今夜はピザにする。

おやじギャグじゃないからね。

 

コンベックオーブンで4枚一度に焼くのが我が家スタイルだったのだけれど、友達がお魚焼くグリルで上手に焼いてる写真を見てその方法に変更したの。

むしろコンベックよりカリっと焼けるという驚き。

これで良かったの?

昨日作っておいた生地をうすーく延ばす。

オリーブオイルをさっと塗って焼く。

プロシュートとルッコラとパルミジャーノ・レッジャーノを載せるだけ。

ああ幸せ。

胃が痛くなければ何枚でも食べられるのに。

普段ストレス無しの生活をしているから、耐性ないんだわね。

嫌なことは忘れようっと。

 

●大丈夫です

胃が痛くてぼんやりしていると壮二郎が

「いま。youtubeでワイシャツの仕立ての動画を見たんだけど凄いね。みさおに出来るわけないね」と笑っている。

胃が痛い時に嫌なことを思い出した。

家庭科の時間にミシンで指を縫って気絶するほど不器用だったのに、進学の時にあちこち落ちて最後に受かった短大の家政科に通ったのよ。わたし。

洋裁和裁料理を2年間でひと通り出来るようになる。はずなんだけどね。

出来るわけないじゃん。

針穴に糸を通すことも出来ないくらいの不器用なのよ。

まだ老眼じゃないんだからね。18歳なんだからね。

ワンピースの仕立ての時には万策尽きて仕立て屋に持って行ったっけ。

勿論ばれて学長呼び出しになったんだけどね。

春休みいっぱい補修に通った悲しい思い出よ。

まつり縫いひとつまともに出来ないまま卒業したけど、輝く専業主婦なんだから、今時は針仕事なんかしなくても平気平気と怠けていたら離婚して就いた仕事がデパートの婦人服売り場だった。

 

パンツの丈詰めピン打ちも、堂々とするのよ。このわたしが。

売りたいがために「大丈夫です。ウエスト10センチ出せます」と大口を堂々と叩くの。

心の中ではいつもドキドキしていた。

失敗?これが意外としないのよ。

お直しあがりのウエストサイズがちょっときつくてもお客様は

「大丈夫!きつくないわ!」

と言うの。太った今ならその気持ちわかるわかる。

パンツの丈がちょっと長めの場合は

「あら、ちょっとお痩せになりましたか?パンツが長くなっちゃいましたね」

と堂々と言えばお客様はゴキゲン。

そ、人生は堂々としていればなんとかなるのよ。

大丈夫!わたしに任せて!

 

みさ日記2019/01/23「似てるって」「お父さん似」

●似てるって

高校生の頃、大場久美子に似ていると言われた。ご存知ですかコメットさんです。

今となっては全く信じられない。年齢と髪型が似ていただけじゃね?と子ども達は言う。わたしもそんな気がする。

勘違いってあるからね。

あの頃松田聖子に似ていると言われている同い年はいっぱいいたわねえ。

56歳の今、松田聖子に似た同い年はいないな。

みんなどこに行ったの?

あの人たちは今は誰に似ていると言われているのだろう。

 

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みさ日記2019/01/19 「好きになっちゃった」「黒井さん」

●好きになっちゃった

気高き独身生活四半世紀なんだけど、脳裡から離れない男性がいるのよ。

もしかしたら彼に会えるかとデパートを彷徨うわたし。

どんなに遠くでも彼がいるとすぐわかる。

彼はいつもたくさんの女性に囲まれている。

よく見たいのだけれど恥ずかしいので柱の陰から覗き見をする。

隣では壮二郎が熱い視線を送っている。

そう、彼はわたしたちのアイドル。名前は知らない。会えるのはデパートの小物売り場。

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