六花亭大好き!
4回目は「霜だたみ」
ねえねえ知っている?
この地味なネーミングのお菓子がすっごく美味しいって。
パイにクリームの組み合わせのお菓子って世の中に物凄くいっぱいあるよね。
でも、この「霜だたみ」のパイのカサカサ具合は秀逸なの。
齧ると必ずテーブルの上が汚れる。
神経質なお母さんだったら「庭で食べなさい」っていうくらい床も汚れる。
庭で食べたら蟻が大集合するくらい破片が落ちるのよ。
六花亭エライと思う。
世間のパイ系のお菓子ってだいたい嫌な油の味とか、きつい香料とか口に残る舌触りがあっていかにも
「日持ちする」って風味なんだけどこれは大丈夫なの。
パイ系のお菓子って軽いからお土産に向いているのよね。
大好きなウエストのリーフパイも一時食感が妙に硬くなったことがあったのだけれど
霜だたみはいつでも美味しい。
そしてね、「霜だたみ」には生き別れの双子の姉妹がいるのよ。
名前は長いの
「この道はいつか来た道」
「霜だたみちゃん」が霜柱の道を歩いていると、記憶喪失になった「この道はいつか来た道ちゃん」が
「この道なんだか憶えがあるわ」と歩いてきてすれ違う。
川端康成の名作「古都」を彷彿とさせる出会いのシーンよ。
とても良く似たお互いを見て驚く霜だたみちゃんといつか来た道ちゃん。
で、でもね、霜だたみちゃんは色黒。(チョコ味パイ)いつか来た道ちゃんは色白(フツー味パイ)なのよ。
ここで自分語りなんだけれど、わたしはデパートに行くと高確率で英語で話しかけられるの。
レストランでも英語のメニューが来るの。
ガイジンに間違われるのよ。
よく見たら、ごろんとした体型も平たい顔も日本人そのものなのだけれど
肌色と派手な服で国籍不明になっているのよね。
そう。ずっとずっと色黒で悲しい思いをして来たの。
「みさおはどうしてこんなに黒いんだ!ちゃんと洗っているのか?」
と父に注意された母亀子(仮名)に
「あんたが黒いとお母さんが叱られるんだから」
と、ナイロンタオルでゴシゴシこすられた思い出。
世界中の色黒の女の子、わたしのために泣いて!
お姫様物語だって、主役はみんな色白のお姫様よ。
色黒の女の子はお姫様になれないの。
大好きなミッフィーちゃんだってキティちゃんだって白よ。
ミッフィーちゃんを茶色にしたメラニーちゃんってのがいて、その茶色の毛並み故に
脇役に甘んじていることはとても悲しかった。
ああ、色黒の女の子は主役にはなれないのね。と。
子ども時代からきっちり日焼け止めクリームを塗って、通学以外は家の中でごろごろしていても
わたしは目立つほど色黒の子どもだったの。
ところで、ここでわたしの天才伝説なんだけどね。
幼い頃から毎日母亀子がお化粧するのを穴が空くほどじっくり見ていて
「そうか。鼻の横に茶色を塗ると影になって高く見えるんだ」
と、ノーズシャドーの仕組みを理解した小学3年生のみさおは
ノーズシャドーになるべく部分には日焼け止めを塗らずに天然ノーズシャドーにしていたの。
凄くない?
天才っているのよ。
わたしよ、わたし!
でもね!みんな聞いて!
六村花夫さんが作ったパイの双子姉妹は色黒(つまり霜だたみ)のほうが美味しいのよ。
この道はいつか来た道は、完全に脇役よ!
これはわたしの中では
「色黒が主役になれた記念日」
として、心の支えにして生きて行こうと思うわけよ。
このことをあまり真剣に書くと、「人種差別」なんてなっちゃってさ
なんとか団体から非難されるかもしれないからドキドキしちゃうんだけどね。
大丈夫か。読んでいる人少ないブログだもんね。ただ、
「色白は七難隠す」
っていう言葉があったのよ。昔。
色黒の女の子を庇ってくれる言葉は無かったのよ。
「酋長の娘」て歌があってね。
♪わたしのラバさん酋長の娘。色は黒いが南洋じゃ美人。っていう歌詞なのよ。
色黒を慰める歌なんだけど、慰められた気分になんかならないわよ。
高校時代の仲良しの美也子ちゃん(仮名)とは文通していたんだけど
いつも
「しろやぎさんへ、くろやぎより」
って書いていたっけなあ。わたし。
美也子ちゃんは色白餅肌なのよ。
あれ、わたし卑屈?
いやあ、ウケ狙いだったんだけどね。
六村花夫さんサンキュー。
花夫さんのお母様も奥様も色白美人なんじゃないかな。とは思うんだけれども
まさか55歳の色黒オバサンに一筋の光明を与えてくれたとは気付いていないわよね。
霜だたみもこの道はいつか来た道も1つ120円。
ここはわたしの思いを汲んで240円出して両方買ってよね。
そして
「みさおちゃん、霜だたみの方が美味しかったよ」
と、報告して。
わたし、すんごく喜ぶから。