六花亭大好き!「六花氷」花夫の花かんざし

六花亭大好き!

夏は忙しいのよ。

杏仁豆腐七夕さまブルーベリー三姉妹を買い占めるだけで能力を使い果たしているからね。

そ、それなのに六花亭カフェでは夏季限定で「六花氷」があるのよ。

なあんだ、かき氷か。とバカにしないでね。

お祭りでちょっと怖いオジサンから買う、あのどピンクやスカイブルーのかき氷と一緒にしないでよね。

六花亭の「六花氷」は牛乳と練乳を氷にしたのが削ってあるんだから。

三種類あるのよ。

「マルキャラ」は、キャラメルと氷とミルクを一緒に食べたような味なのよ。

ビスケットもいっぱい載せてあってね。それを溶けかけミルク氷に浸して食べると美味しいんだから。

「苺」は苺ソースが赤ピンクで乙女心を狙い撃ち!リンダもびっくりよ。

「抹茶」は見た目はオバアサン向きっぽいけど濃厚抹茶ミルクはけっこう鋭い味なのよ。

これは社長・六村花夫はかき氷に熱い思い入れがあると見たね。

わたしはね、花夫のことはわかるのよ。

 

あれ・・・・祭囃子が聞こえてくる・・・・・・

ここは・・・・・昭和の十勝の夏祭り・・・・・

 

声・市原悦子

少年六村花夫は菓子職人になることを夢見て帯広の製菓店の丁稚奉公をしていました。

母、スヱのために立派な菓子職人となり楽な暮らしをさせたい。

住み込みの花夫にとって夏祭りはお内儀さんからお小遣いをいただき遊べるという年に一度の楽しみでした。

夏祭りの出店を小遣いを握り締めて歩く花夫は、香具師が声高に売るカキ氷に魅せられます。

「うまいんだべなあ、冷たいんだべなあ、紅色の蜜がかかって甘いんだべなあ。」

「すみません、紅色のかき氷をひとつ・・・」

と言いかけた花夫ですが、ふと見ると愛らしい花かんざしが出店の灯りの下で輝いています。

母、スヱの優しい顔が思い浮かべ買い求める孝行息子の花夫でございます。

「母ちゃん、喜ぶべなあ」

 

ところが・・・

カキ氷売りの香具師が鬼の形相で仁王立ちしているのです。

「兄ちゃん、いま紅色のカキ氷ひとつ。と言ったべ。早く金払え。」

花かんざしを買ってしまった花夫の懐にはもう一銭の残りもないのでございます。

香具師に散々殴られ、せっかくの花かんざしも踏み潰された花夫は赤切れた拳を握りしめます。

「いつか、いつか母ちゃんに花かんざしを買ってやるぞな。腹いっぱいカキ氷を食うぞな」

遠い祭囃子。

花火の音。

 

修行中の悲しい思い出のつまった、夏限定の「六花氷」

花夫の涙が隠し味でございます。

 

感動だよね。

泣いている人もいるよね。

 

親孝行って素晴らしいよね。

みんな!今すぐ故郷のお母さんに電話をかけよう。

お母さんが死んじゃった人は夕焼けにむかって叫ぼう!

「おっかさーん!」

 

一応書いておくけど、六村花夫は架空の人物だからね。

全部わたしの妄想なのでよろしく。

 

そして今日、六花亭カフェに行ったら六花氷は今日が最終日と判明。

わたしの夏が終わるのね。

地球温暖化して北海道が常夏の国になったら通年販売してくれますか?花夫さん。

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