六花亭大好き！
昨日家に戻ったのよ。
久しぶりに家のご飯と家の水をたっぷり飲んで
「あれ息してる？」と思うくらいに枕に吸い込まれるようにぐっすり眠ったの。
起きたら爆発の髪の毛と
「眼瞼下垂」の診断が出て保険適応で二重手術ができるような腫れた目。
もういいよ。どうせ今日は家から一歩も出ないもんね。
壮二郎は札幌の反対側にフットサルに行っちゃったから昼寝し放題だわ。
メールの返信も、仕事もぜーんぶ明日にしようっと。
ピッピたんに餌やって、フェイスブックに「いいね」をするだけの簡単なお仕事の一日にするもんね。
と、4日ぶりの六花亭の杏仁豆腐を食べながらパソコンを開けてつらつらと見ていたら
ぬぬぬぬぬ！
ええええええ！
友達がブルーベリーみつ豆を買ったという投稿をしてるううううう！
きょ、今日からだったの？
知らなかったよーーーーー！
まずは壮二郎にメールする。
「帰りに六花亭に寄って！ブルーベリーみつ豆今日からだって！」
珍しくすぐに返信が来た
「勿論行くけど操が買いに行く方が早いよね」
そりゃそうだわ。イオン新札幌の六花亭には急げば10分で着くもん。
でも、この爆発頭と腫れた目と浮腫んだ顔。
一瞬躊躇したけれどね、でもわたしはやる女よ。
欲しいものがある時には体当たりの女。
そしてわたし以外の誰かにブルーベリーみつ豆をとられるなんて我慢出来ない！
強欲傲慢剛毛の３G女よ！
帽子とサングラスで家を飛び出したわよ。
マスク？そんなものつけないわよ。
暑い中小走りするのよ！熱中症で死んだらどうするのよ。
ああ、前を行く人が全員六花亭のブルーベリーみつ豆を買いに行くライバルに見える。
人を見たら泥棒に見える！
お前はブルーベリーみつ豆泥棒じゃないのか？
と、六花亭の袋を持った爺さんを睨みつけながら、もつれる足でイオン新札幌店に到着したんだけどね。
無いの。
売っていた形跡さえ無いの。
冷蔵コーナーにはおはぎやプリン、フツーのみつ豆しかない。
店員さんのわたしを見る目が憐れんでいるように感じるのは気のせい？
一昨年のブルーベリーみつ豆最終日の悲しみが蘇るわ。
負けたのね。
わたしは新札幌辺りに住む誰かに負けたのね。
今頃敵は
「今年も美味しいな」
とブルーベリーみつ豆を食べているのね。
キーー！悔しい！
被っている帽子を脱いで打ち捨てたい気分だけれど、それをしたら爆毛が飛び出すから我慢よ。
花夫、見てるか！あなたがわたしに発売日を教えてくれないせいで口惜し涙にくれているのよ。
と、いうか花夫はわたしの心の中にいる六花亭の社長だけれど架空の人物ね。
わたしに発売日を教えてくれるわけがない。
ま、しょっちゅう心の中の花夫とお喋りしてるんだけどね。
そうよ、わたしはイカレてるのよ。フン！ほっといて！
決心したわ。炎天下だけれど歩くわよ。
六花亭森林公園店まで行くわ！
思い込んだら試練の道を。と歌いながら大股で歩く。
今年は冷夏で杏仁豆腐はいつでも買えてすっかり気持ちが緩んでいたわ。
ああ、いまみさおの六花亭夏の陣が始まったのね。
血が滾るわよーー！
負けないわよ。わたしのブルーベリーみつ豆を他の誰かにとられるもんですか！
ああ、こんな時に翼があったら六花亭森林公園店まで飛んで行くのに。
ああああ、あの昔のマンガの足がグルグルになるあの最速モードになりたい。
そうよそうよ10年前、ハワイに行く時に飛行機に乗り遅れたかと勘違いしたわたしは大きなバッグを持って空港の急な階段を一瞬で駆け下りたことがあるのよ。
あまりにビックリして急ぐと人は足がグルグルになって瞬間移動出来るんだと知ったのよ。
そうだ！
わたしは下野誠一郎さんから「マトリックスアクティベーション」を習ったのよ！
こんな時にはマトリックスアクティベーション発動よ！
足がグルグルになる最速モード発動！
そこからちょっと記憶が飛ぶんだけどね。
気が付いたら六花亭森林公園店前にいたの。
多分ロクに水も飲まずに炎天下を興奮状態で歩いたから小さく意識が飛んだのか。
足にグルグルが付いたのかはわかんない。
森林公園店にはブルーベリーみつ豆が三個売っていて、意気揚々と家に戻ったわよ。
凱旋将軍っていうの？この気持ち。
札幌店でもエスタ店でも大丸店でも買えなかった壮二郎に
気が遠くなるほど頑張って買ってきた話を唾を飛ばしながら語ったんだけどね、褒めて欲しくてね。
「今日始まったばかりなんだからあんまり飛ばしちゃダメでしょ」
と冷たく言われたわけ。
フン！あの子にはわからないのよ。
六花亭夏の陣の火蓋は切って落とされたのよ。
毎回真剣勝負よ。
負けないわよおおおおおお！
北海道以外のみんな！
Go toだかなんだか知らないけれど、札幌に来るなら今日からよ！
ブルーベリーの時期は短いのよ。あっという間よ。
でも人が来ると品薄のブルーベリーみつ豆が手に入らなくなるかも。
美味しいから来て買って食べてーー！
でもわたしの分はとっておいてー。
ああ揺れる乙女心。
世の中にたえてブルーベリーみつ豆のなかりせば夏の心はのどけからまし
