●松果体
壮二郎といつもの「村上カレー店プルプル」に行った。
大声で話している二人連れ。
とっくに食べ終わってるじゃん。
顔が見える方がシュン(仮名)
背中見せてる方がケンタ(仮名)
ケンタだけが場違いな大声で喋っているんだけどね。シュンは戸惑っている。
「やっぱね、普段からアーシングが必要なわけ。あ、わかる?アーシング、地球、アースにアイエヌジー。海外だとみんな裸足で歩いてるよ。アーシングのために。」
「海外行くとみんなこういう話してるんだよね、とくにジャーマンのやつらは。あ、ジャーマンってドイツね」
「こういう話、ユウヤ達にはできないんだよな、あいつらゲームのことしか話さないから」
「やっぱ俺は海外に行くのが習慣になっているから、時間あるとすぐ海外に行くんだよね。タイなら3万円で往復できるし、シュン海外は?」
「・・・いやあ、行きたいと思ってるけどなかなか」
「行くと考え方変わるよ。やっぱスピリチュアルと現実世界を繋ぐのは松果体なんだよな。ってわかるし」
「俺なんて海外に行ってるから人との接し方変わったし、コミュニケーションの取り方が変わるんだよね。松果体使うと」
ケンタはシュンに何を勧めたくて呼び出したのか。
仮想通貨か、保険か、浄水器か、気になる。
できることならばわたしも話に混ぜて欲しい。
このわたしに向かって雪空の下裸足になろうぜとは誘わないでしょ。
痩せるのか?儲かるのか?恋人が出来るのか?
それても全部なのか???
平成も終わる日本で、海外に行くことが自慢になり、目標になり、行けば魔法のように変われると思う若者がいるんだなあ。
支払いのために立ったケンタと目が合った。
ガイジンにするようなアイコンタクトをわたしにするの。
仕方ないからわたしもガイジンのふりをして微笑んであげたわよ。
松果体使ったコミュニケーションね。
●炊飯器
ミールスを提供する時に湯とり法で炊いたご飯を保温する作業に難儀していたので、仕方なく「保温器」を買うことにしたのだけれど、これが悲しくなるほどダサいの。
ほら、「〇〇青年の家」の朝食の時に置いてあるような木目調のとか、田舎のばあさんももう使っていないような花模様とかね。
保温するだけの単機能なのにけっこう高いのよまたこれが。
ツインバードで単機能出しているかと探したけどない。
で、発想の転換で一升炊きの炊飯器を買ったわけ。
炊飯器の保温機能を使えばいいじゃん。と。
我が家は30年近く炊飯器の無い生活をしていたの。お鍋でご飯炊いているのよ。
今じゃ日本米は週に一度も炊かないしね。
何食べてるの?って?
えっと、ピザとかパスタとかインディカ米。カレーうどんとかね。
嬉しくて日本米を久しぶりに炊いちゃった。
1万円もしない安物なのにご飯の炊き分けもできるのよ。お握り用とか冷凍用とかカレー用とかね。凄いね。
高校の時に家庭科の調理実習でオバサン先生が
「お鍋でご飯さえ炊けるようになっていれば世界中どこに住んでも大丈夫です」と力説していたっけなあ。
炊飯器が無ければご飯が炊けない日本人を嘆いていた。
子どもたちにも必ずお鍋でご飯が炊けるようにしなさいと言っていた。
そうだそうだその通りだな。と今でも思うし、わたし家庭科の成績も悪かったけど息子は全員お鍋でご飯炊けるようにしましたよ!
劣等生の八島操、先生の言いつけを守りました!
先生あの世で喜んでくれているかな。
あ、まだ生きてるかも。
●スパイス屋さんになる
南インド屋のミックススパイスを販売することにしようと決めてからかれこれ何か月経つだろう。
レシピはもう、大昔に出来ているのよ。
しゅーって空気抜く機械も買った。
じゃあなんで販売しないの?って?
壮二郎が
「僕がレシピを作ったからあとは操がやってね」
って言ったから。
そ、わたしは仕事が遅くて、出来ない。
使えないヤツなのよ!
まず詰める袋の形状と素材、そしてまずそれを一体どこに注文したらいいの?
第一、一袋何グラム入りがいいの?
スパイス100グラムってどれくらいの容量?
袋詰めにする袋ってどこでどんなの買うの?
業務用?
アルミと透明のとどっちがいいの?
え、自立型と底入れタイプって何それ。
ぎええええ1000枚一単位?
家中袋になるってば。内職地獄だよ。
わたしは袋の大きさと中身の量の関係がわからない。
立体視能力が極端に低いところにハズキルーペをかけているから更にわからない。
壮二郎に
「失敗してもいいから」と言われてやっとこ袋を3種類発注した。
届いた袋は想像していたものよりずっとずっと小さくて、これならみさおのおやつ引き出しに仮置きできるじゃん。
袋にシールを貼って可愛くするか。
その絵はどうする、わたしが描くの?
シール貼りってかなり苦手な分野。
絵を描いたのを印刷屋さんに出すの?え、それもネットでするの?
自分でプリンターで作成する方法もあるのね。
プリンターってすぐ壊れて嫌い!
壊れない高額なものは買えないんだってば!
ちまちまと可愛い絵を描いてみたけれど、20グラム入りの袋に貼るシールって小さいよね。
多分なに描いてあるかわかんないよね。
ダメじゃん。
印刷してくれるサイトも多すぎて、どこが一番親切で安くてと見比べていると、パソコンの画面の上のところタブがびっしりになってもうどれがどれだったのかわかんないよ。
わからないことだらけで、何がわからないかもわからずに冷静なパソコンの黒井さんの前でうなだれる日々。
でもね、今日やっと発注したの。
どんな苦労をしたかこれ以上聞きたくないでしょ。
もう肩凝ってバキバキ。
老眼もまた進んだな。
スパイスで儲けたら真っ先に新しいハズキルーペ買うことにしよう。
って、これってもしかしてただ無駄に動いて消耗するだけのかの有名な
「骨折り損のくたびれ儲け」?
いや、そ、そんなことはない。
きっと世界1000万南インド屋ファンが待っている!
と信じるわ。わたし。
不器用だからシールは止めて包装紙で包むことにしたの。
来週には発売出来るかな。
みんな待っててーーー!