2019/02/08「貯蓄の心」「スパイス屋さんになる②」

●貯蓄の心

六花亭で毎日あれこれ買うわたしを壮二郎は冷たい目で見ている。

「壮ちゃんプリン食べる?」

「いらない」

で、一個だけ買うんだけどね、気が付くと壮二郎が食べているの。

「買ってから2日経ったプリンには所有権が無い」と言うのが彼の言い分。

違うの!

まずプリンを買っただけで

「ああ、プリン買っちゃった」

と言う幸せな気持ちになるのよ。

そしてすぐ食べなくても

「冷蔵庫にはわたしのプリンがある」

と、幸せな気持ちになるの。

 

この調子で四つ葉の生クリームも冷蔵庫に常備してるんだけどね、ま、たまに腐らせるんだけどね。

そうよ、わたしの所有欲!

みさおのおやつ引き出しの充実と冷蔵庫のプリンと生クリームがわたしの富の象徴!

夏場になるとは俄然強欲になって杏仁豆腐やブルーベリーみつ豆も溜め込むんだけどね。

あ、もしかして、貯金が趣味!ってヒトの

「通帳を見てにんまり」

ってこういう感じなのかな。

ここで、プリンや生クリームではなくて通帳の数字で幸せになれるようになったらわたしもお金貯められるのかな。

無理だな。

生まれて56年。

富める時も貧しき時も貯金は出来なかったもんね。

 

●スパイス屋さんになる②

そうよ。わたしはスパイス屋さんになるの。

保健所も行った、税務署も行った。

包装紙だって発注したんだから。

ブレンドして機械でガーって粉砕して。

小分けして、シューって空気抜いて、内容表示のシールを貼れば販売出来るのよ。

そこよ。その内容表示のシールって言うものが問題なのよ。

あれよ、あれあれ。お菓子でも、七味唐辛子でもついている四角いのよ。

わかる?

あの誰も見向きもしない小さい文字でせこせこ書いてあるあれを作らなくちゃならないんだってば!

ひー、面倒臭い。

どうやらネットで注文して、自分でプリントするもしくはシールとして出来上がったものを送って貰うみたいなんだけれど。

検索に検索を重ねてやっと見つけたそのシール屋さんも「500枚単位」とか校正料金別。とかわたしの能力の低さと商いの細かさを完全に見下した態度!

キーッ!腹立つわあ。

こうなったらシール専門の機械を導入してやるわよ、フン!いくらなのよ?と調べたら

ご、ごじゅうまんえん!

ごめんなさい。無理です。

新しいハズキルーペ買えるかどうかの状態なんです。

 

一瞬芋版画で作ろうかとも思ったんだけどそんなにやる気と根気があったら棟方志功になってるってば。

でね、わたしがどうしたかと言うとね。

 

ハイ、手書きしてるんです。

ラベル用に白いシールを買って来て、極細ペンでちまちまと書いているんです。

今日の夕方から14枚書きました。

 

もうね、わけわかんないjpegとかフォーマットとか言われるくらいなら手書きする方が楽なんです。

 

「え?みさおどうして急に細かい仕事しているの?」

って壮二郎に驚かれるんだけどね。

確かにわたしは細かい作業が苦手。

でもそれ以上に機械が苦手なのよ。

 

「みさお、それさあ毎朝写経代わりに書いたら悟り開けるんじゃない?」

って言われてるの。

米粒にお経を書くモノ好きを思い出して言ってるのね。

キー!悔しい。

 

でも負けない。

何故ならわたしは頑張り屋。

何故ならわたしはスパイス屋さんになるんだから。

首を洗って待ってろS&B!

裸足で逃げ出すなよGABAN!

って、何の恨みもないスパイスメーカーに喧嘩腰。

そうですよ。八つ当たりってのですよね。

 

 

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